ブレーキフルード交換の必要性
ブレーキフルードの成分は吸湿性の高いエチルグリコールであるため、劣化すると水を含んでいくので、フルードの沸点が下がっていきます。フルードが沸騰するとオイルラインにエアが混じり、油圧を掛けられなくなりブレーキが効かなくなるというベーパーロック現象が起こるリスクが高まります。
フルードはブレーキダストなどが混じり徐々に汚れていきます。オイルラインにダストがつまって効きが悪くなったりと不具合が起こる可能性がありますので定期的な交換は必須です。
自分はよく峠を走るのでブレーキを酷使しますし、標高が高いところは沸点温度が下がるため、ブレーキオイル管理には気を使っていこうと思っています。
ブレーキフルードの規格
ブレーキフルードにはDOTという規格があります。DOTで指定されているFMVSS基準(米国自動車安全基準)により以下のように分類されています。
左から:基準、主成分、ドライ沸点、ウェット沸点
- DOT 3 グリコール 205℃以上 140℃以上
- DOT 4 グリコール 230℃以上 155℃以上
- DOT 5.1 グリコール 260℃以上 180℃以上
- DOT 5 シリコン 260℃以上 180℃以上
http://www.dixcel.co.jp/subcontent/literature/literature02.html
ドライ沸点とは新品時の沸点で、ウェット沸点が1~2年間使用後の沸点とされています。つまり、どんなに良いフルードを入れたとしても、3年以降はウェット沸点の数字からさらに沸点が下がっていきます。
JB23のブレーキフルード交換
2015年に新車購入から3年(4万キロ)のブレーキフルード。茶色がかってきています。
キャップにDOT3を入れろというような事が書いてありましたが、今回はDIXCELのDOT5.1を入れてみます。DOTが高い分には問題ありません。ただしDOT5のシリコン系だけは成分が違いますので入れないようにしましょう。
DIXCELのDOT5.1は他のメーカーよりハイスペックなのに同価格という良かろう安かろうなフルードです。DIXCELは実績のある有名なブレーキパーツメーカーなので信頼性は高いでしょう。
使用する工具など
- 12mm
- 10mm・8mm
- パイプレンチ
- ジャッキとウマとタイヤレンチ
- チューブ付きワンウェイバルブブリーダーと空の500mlペットボトル
- 注射器
一人で作業する場合はワンウェイバルブブリーダーは必須です。これをペットボトルのキャップに穴を開けて差して廃オイルのキャッチタンクを作ります。
JB23のブリーダーの位置
ブレーキフルード交換は上から足して、ブリーダーから抜くという形で行っていきます。ブリーダーの位置はフロント両側とリアの左側の3つあります。ジャッキアップしてタイヤを外して作業します。
ここから我流も入ってくるので参考までに。
フロント左右のキャリパーのピストンを戻す
2本の12mmで止まっているフロントの左右のキャリパーを外します。片方は緩める程度で問題ありません。
ブリーダーのニップルを外してワンウェイバルブつきのチューブを差し、ブリーダーの根本の10mmを緩めておきます。(リアは何故か8mm)
キャリパをカパっと外してパイプレンチを使ってピストンを押し戻し、キャリパー内のフルードを出します。このとき一気に力を入れないでじわっと戻すイメージです。
リザーバータンクのキャップを開けて注射器でフルードを抜けるだけ抜き、ブレーキフルードをいっぱいまで足します。沈んでいたダストが浮いてきたので注射器で吸い取ってきれいにしました。
フルード交換
1.運転席からブレーキを10回くらいずつ踏む
2.ブレーキフルードのリザーバータンクの量を確認、絶対に切らさないようにフルードを足す。(切れた場合はABSにエアが噛んでしまう。)
を繰り返します。
上記を繰り返しているとチューブを通るフルードが透明になってきます。1箇所あたり200ccもペットボトルに溜まればほぼ新しいオイルに変わっているでしょう。この作業をフロント左右、リア左のブリーダーで行います。
エア抜き
次にエア抜きを行います。エア抜きはリア左、フロント左、フロント右の順番で、リザーバータンクの遠いところから行っていきます。
1.運転席からブレーキを10回ぐらいずつ踏む
2.リザーバータンクを確認、減った分を足す
3.ワンウェイバルブを確認。出てくるフルードの中に気泡があったら繰り返す。
気泡が出なくなったらブリーダーを締めてニップルをつけてリザーバータンクのMAXのラインまでフルードを追加して完了です。
エアがまだ出ている状態↓
エアが出なくなった状態↓
そんなこんなで完了。ほぼ透明になりました。
抜いたブレーキフルードは近所のスタンドで無料で引き取ってもらいました。